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 わが協会の創立期を振り返るとき、新しい工芸の運動体としての活動を改めて想起したい。1960年代の初頭、現代美術のあらゆる分野における新しい運動は国際的な規模で胎動し、わが国の工芸分野においても既成の工芸に対する批判が昂ぶっていた。その気運をいち早く捉え、先導的役割を果たしたのがわが協会であった。
 
 協会が標傍した「主張」を抜粋すれば「現代の工芸という言葉は、自ら過去の工芸という言葉と対照される。過去の工芸とは我々の時代から既に遠のいた歴史的反省の存在価値しかないものを指す。之に反撥を感じ批判を加えると同時に、現代を吸収し消化し生きた生命を感じつつ制作した作家の所産を現代工芸と名づく。
 
 由来「工芸」というものは用と美の抱き合ったものだという観念が色々の解釈を投げかける。機能を主としつつも美的な処理を行うインダストリー・デザィン、合理性と経済的思想から生活過程に随伴することを本義として自ら量産を予期する生活工芸、或いはこれと同巧異曲である様相を呈しつつも製造手段を手製であるべきことを主張するクラフト等々に、外国の直訳的工芸批評家を加えて正に世は紛々たる状態である。然し工芸の本義は作家の美的イリュウジョンを基幹として所謂工芸素材を駆使し、その造型効果に依る独特の美の表現をなすもので、その制作形式の立体的たると平面的たるとをとわず工芸美を追求することにある」と記されている。
 
 この「主張」を旗印として、わが国における新しい工芸分野の開拓を目指したわが協会も、今日、一応所期の目的を達成し、今後それをどのように展開していくか重要な岐路に立たされているのではないだろうか。「主張」は更に「現代の工芸は現代の新しい解釈を要求する」と記されている。即ち、一つの理念が45年間の経過と共に、今日、問い直される時機にきている。ことに、会の組織が大型化すればするほど、構成メンバーの各層の思考の格差は覆うべくもない。しかも、現代美術全般にわたる国際的な潮流の中にあっては、わが協会の「主張」も時代に即応した解釈を必要としている。
 

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